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2007年02月18日
 ゴンズイ・バスターズ

2007年2月17日  神奈川県腰越港

先週の連休で、式根島に行ったばかりの外道バスターズ。
今週も同じメンバー(SaltyDog氏Mr.mud氏)で腰越港に釣りに行った。

狙いは外道中の外道、ゴンズイである。
ゴンズイは危険な魚として有名で、背びれと胸びれに毒針を持つ。刺されると強烈に痛み、1日中釣りができなくなるほど猛毒である。
しかし、一部の間では食べると美味しい魚としても知られているのだ。
今回の腰越港は、その筋では知る人ぞ知るゴンズイの聖地である。夜釣りなら百発百中で釣れると言われる数少ない港なのだ。

ゴンズイと言えば夜釣りである。
満潮が16:30なので16:00ころ現地に着き、その日のうちに帰還する計画だった。
当日の天気予報は思わしくなく、夕方から雨の予報である。気温も低めであり、過酷な釣りになる事が予想される。
我々3人で釣りに行くときは、必ず雨か強風である。今回も覚悟した方がいいだろう。
この季節に雨の中でゴンズイを狙って夜釣りする連中が、我々以外にいるだろうか。

今回の釣行は、Sal氏の体調も思わしくないので、みんなで電車で行くことにした。
バイクで行けば荷物を多く積めるので便利だが、帰りの夜道が雨と寒さで地獄になる。

腰越駅到着&腰越港到着
さあ到着だ!よぉ~し釣るぞぉ~!










14:29新宿発の小田急線快速急行で3人は合流した。
私は時間ギリギリになってしまい、滑り込みセーフ。MUD氏も出発が少し遅れ、途中の駅で合流した。
余裕を持って家を出たのはSal氏だけである。何か、気合いを感じる。

藤沢で江ノ電に乗り換え、腰越を目指す。
途中で路面電車になり、いつもと違った雰囲気を楽しんでいると、あっと言う間に駅に着いた。
途中の釣具屋でエサのアオイソメと自分たちのエサのパン等を買い、港を目指して歩く。

駅から港までは、目と鼻の先だった。
16:00になり、引き上げる釣り人達とすれ違いながら堤防の先端に向かう。
釣場に着くと荷物をおろし、早々に仕掛けの準備だ。
いつもながらSal氏の準備は早い。一番に釣り始めるのは、決まって彼だ。
今回は異様に早く、すでにリュックの中の釣り竿に仕掛けをセットした状態で持ってきていた。
並々ならぬ気合いを感じる。ここまでゴンズイ釣りに燃える男がいたとは!
MUD氏と私も遅ればせながら仕掛けを準備し、釣り開始だ。
ところが、釣り始めてすぐに雨が降り出した。なにか、我々に釣りをさせまいとする黒い力を感じる。
レインウエアに身を包み、リュックを傘で雨避けして釣りに復帰だ。

クーラーBOXに固定した私の竿&真剣に釣る2氏
何かかかれよ!後ろ姿に哀愁を感じます










16:30に満潮になり、潮止まりとなった。
アタリが無い。雨でしかも寒い。
こういうときは、ハクキンカイロの出番だ。寒い夜に重宝するオトナのアイテムだ。
少し風も出てなかなか火がつかなかったが、Sal氏の助けを借りて着火成功。
ゴンズイは日が暮れてからが勝負だ。

チビハゼ&チビダコ
いいな~!うらやましいな~!










しばらくして、Sal氏が何か釣り上げた。5cmほどの小さなハゼである。
エサをチェックしようと仕掛けを上げたところ、いつの間にか付いていたらしい。
小さいが、何も釣れない我々にとってはうらやましい限りだ。

少しして、Sal氏がまた何か釣り上げた。
大きな声を上げて、感動している。
近づいてみると、頭の大きさがピンポン玉くらいの小さなタコだった。
Sal氏、一人絶好調である。正直うらやましい。
こういうときは、こう言うのである。
「ゴンズイ釣りに来て、外道ばっか釣ってるなよ!」

雨に濡れる腰越の街&デカハゼ
寒いよぉ~!わしも釣れたどぉ~!










日はとっぷりと暮れ、雨は降り続いている。
私とMUD氏の竿には、アタリが全く無い。
ヒマ潰しにパンとソーセージを食らう。
寒さが身に凍みてくる。

私の竿には、アタリが判るように鈴が付けてある。しかし、鈴は全く鳴らない。
そこでエサをチェックしようと仕掛けを上げたところ、ブルブルと手応えを感じた。
何か釣れている!
思わず「釣れた~~!」と叫び声を上げる。
暗闇に浮かび上がったシルエットは、細長い魚だった。
本命のゴンズイの子供か?と思い、恐る恐る近づいてみると、それは20cmほどもある大きなハゼだった。
勝ち誇ったようにSal氏に見せ、「デカイだろ~」と自慢する。
まだボウズのMUD氏も「いいな~」と、うらやましがっている。
本当は嬉しいのに、「外道を釣っちまったよ~」とテレ隠しする。

ドンコ&本命ゴン様
でかいじゃん!本命釣れたどぉ~!










少しして、Sal氏がまた子ダコを釣り上げた。タコ釣り名人か?
そして、続けざまに何やら大きめの魚を釣り上げた。
本命のゴンズイかと思ったが、良く見ると25cmもあるドンコ(イソアイナメ)であった。

羨ましそうにドンコを見ていると、私の竿の鈴が鳴った。
あわてて巻き上げてみると、結構重い。
ゆるゆるに調整してあったリールのドラグが滑り、糸が出て行く。
釣れ上がってきた物は、本命のゴンズイだった。
20cmオーバーの良型で、特有の縦縞の他にうっすらと横縞が入った美しい魚体だ。
ヒレは縁だけ黒く色づいており、渓流の妖精ヤマメやイワナを連想させる神々しさだ。
ついにやった!本命を釣り上げたのである。
我々は、2月の雨の夜に、わざわざコイツを釣りに来たのだ!

毒針を除去しなければならないのだが、寒さで手がかじかんで今にも刺されそうである。
Sal氏に手伝ってもらい、悪戦苦闘してなんとか針を折って取り除いた。

そのあと、Sal氏がまた何か釣り上げて感動している。
見ると、頭が鶏卵よりも一回り大きいリッパなタコだった。
この短時間で、1人で3匹も釣ったのである。
Sal氏にはタコ釣り名人の称号を与えるべきだ。

            後光の差すSal氏
大魔王様それからSal氏はイソアイナメ1匹とゴンズイ1匹を追加した。
私はゴンズイ1匹とデカハゼ1匹を釣った。
MUD氏だけ何も釣れていない。まだボウズである。
Sal氏は寒さと雨で風邪が悪化したらしく、すでに満足して帰りたそうだった。
MUD氏にも何か釣れて欲しい。

彼も焦りを感じたのか、頻繁にポイントを探って粘っている。
そしてついに、テトラ脇を攻めていたときに初めてのアタリがあった。
竿がブルブル震える明確なアタリである。しかし、魚は針がかりしなかった。
そこに魚がいると読んで、さらに攻めるMUD氏。
とうとう魚も根負けして、MUD氏のエサに食いついた。
良型のドンコである。

これで思い残すことも無かろう。
すぐに今まで釣った魚を、その場でさばき始めた。
メスのゴンズイのお腹には黄色い卵巣が詰まっていた。
Sal氏がそれを見て食べたそうにしている。
私に勧めてくるが、断固拒否した。
やがて、彼はそれを口に入れた・・・。
ゴンズイの卵を生で味わった者は、彼以外にいるのだろうか。
これでは私の事を怪人と呼べないではないか!
味の方は、最初は海水の味だったのが、遅れて魚卵特有の濃厚な味が口の中に広がってくるそうである。

MUD氏は慣れた手つきで内蔵やエラを取り除いていった。
手がかじかんで、やりにくそうである。
やっとゴンズイとドンコの処理が終わり、クーラーBOXに納めた。
今回の釣果は、ゴンズイ、ハゼ、イソアイナメ、タコすべて3匹ずつだった。

21:00になり、そろそろ撤収である。
適当に荷物をリュックに詰め、明るい軒下まで移動して荷造りする。
不思議なことに、撤収と同時に雨は止んでいた。
闇の力を感じる釣りだったが、それにうち勝ったと言えよう。
過酷な釣りだったが、短時間でかなりの釣果を上げる事ができた。
離島遠征も良いが、近場にもまだまだ良い釣場があるものだ。
後に試食会を開くのが楽しみである。


●2007年2月23日  Kanna

いつものようにKannaで試食会を開いた。
今回の獲物は、ゴンズイ・バスターズで釣れたゴンズイ、マダコ、マハゼ、イソアイナメの他に、式根島釣行で釣れたクロアナゴと現地で買ってきたクサヤ類である。

マダコとポテトの炒め物&キビナゴのクサヤ
いける!かな~りウマ~!










ゴンズイの干物&サメのクサヤ
ウマ~~!臭いけどウマー










マハゼとイソアイナメの天ぷら&クロアナゴのフライ
上品な味でウマ~!かな~りウマ~!










今回の試食会で印象的だったのは、ゴンズイの干物とクサヤ類であった。
ゴンズイは旬の真冬に釣ってきたので、脂が乗っていて激ウマだった。
Mr.mud氏が自宅で干物にしてきてくれたものだ。
脂に旨味とコクがあって何とも言えない味わいである。

キビナゴのクサヤは、買ってきて良かった~と思えるほど美味だった。
珍しい物なので、次に見かけたときも迷わず買おう。

サメのクサヤは、種類は不明だがたぶんドチザメだろう。
クサヤ独特の臭みにサメ特有のアンモニア臭が加わって、とにかく臭い。
しかし、味にはコクがあってなかなかウマかった。

今回の試食会では、普段滅多にありつけない魚を食べることができた。
現地でなければ売っていないものや釣らないと食べられないもの、普通の店では味わえない調理などである。
こんな贅沢ができる我々は幸せ者なのかも知れない。

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2007年02月17日
 アシタバ・パーティー

2007年2月14日 於:Kanna

先日の式根島釣行で摘んできたアシタバをKannaで調理してもらい、少人数ながら試食会を開いた。
参加したのは、SaltyDog氏黒洋梨氏怪人M(私)の3人である。
Mr.mud氏は、残念ながら所用があって来れなかった。

ゴマあえ&天丼
ゴマあえ天丼










20:00少し前にお店に着くと、ちょうど黒洋梨さんが店の前に停めたバイクから降り、ヘルメットを脱いでいるところだった。
今回は黒洋梨さんはバイクで来たので、お酒はダメである。
SaltyDog氏が来るまで、私はレモンサワー、黒洋梨氏はジュース系を注文してマッタリ談笑する。
やがて3人がそろい、パーティーの開始である。

今回作っていただいた料理は、ゴマあえ、マヨネーズ風味のサラダ、天丼の3品である。
お腹が空いていたので、わがままを言って天ぷらを天丼にしてもらった。

最初はゴマあえが出てきた。
一皿に盛って出していただくか小鉢に3つに分けるか悩んだが、平和な3等分を選択した。
風味豊かなアシタバには、ゴマあえが良く合う。
主に新芽の部分だけを摘んできたのでエグ味がほとんど無く、たみさんの絶妙な味付けでアシタバの香りが引き立つ。
3人とも、次の料理を作る間もなく完食である。

少しして、マヨネーズ風味のサラダが登場した。
サラダと聞いて、レタスなどの他の野菜にアシタバが混ざっている物を想像したが、ゴージャスにアシタバだけのサラダであった。
これは一皿だったので、食べるペースを考えながら箸を出した。
黒洋梨さんは大食漢である。遠慮がちに箸を出し、その度に我々の様子を観察する目がキュートであった。
お味の方は当然のことながら二重丸だったが、飢えていたせいか写真に納めるのも忘れて食べ尽くしてしまった。

最後に天丼である。
少し間が空くため空腹に耐えきれず、ピザを食べた。
やがて出てきた天丼を見て、3人とも驚いた。
透明なガラスの器に盛られていたのである。
見るからに美味そうでヨダレが出そうな天丼が、上からだけでなく下からも横からも丸見えなのだ。
もう、一心不乱に食った。気が付けば、器の中は空っぽだった。
香り高い野草には、天ぷらも良く合う。

食べ物が無くなってボーッとしていると、たみさんが今日はデザートがあると言う。
出てきたのは、手作りのシフォンショコラだった。
甘みを抑えてあり、中年族の我々には有りがたい配慮だ。
いくらでも食べて良いと言われ、黒洋梨さんの目が輝く。
そうだ、今日は2月14日。世間ではバレンタイン・デーだったのだ。

投稿時間 : 05:15 個別ページ表示 |料理

2007年02月13日
 式根島釣行 -離島に幻の巨大魚を見た!?-

2007年2月9日~12日

これは、外道釣りに燃える熱き男達の戦いの記録である。
外道バスターズ3人衆、SaltyDog氏(以後S氏)、Mr.mud氏(以後MUD氏)、怪人M(私)は年の初めから離島釣行の計画を立てていた。
しかし、1月の釣行は悪天候によって中止となった。大シケ大魔王ことS氏の思念か、あるいは行けないことを怨んでの手下F氏の怨念か、海は大荒れに荒れて風速20mを超える嵐となった。

そこで2月の連休に再び離島釣行すべく計画を立てた。
行き先は3人とも行った事のない式根島である。
ところが、この季節にどういうわけか、フェリーが満席で早くも計画が狂ってしまった。そこで、行き先を変更していつもの三宅島に行く事にした。
だが、狂った歯車は為すこと全てを妨害するかのようで、今度は三宅島の宿が満室になってとれなかった。
仕方なく、前の計画に戻して式根島に行く事にした。
キャンセルが出たのか、以前満席だったフェリーにも空席があって、MUD氏の手際よい手配によって事はトントン拍子に進んで行った。

2/9(金)の22:00に竹芝を発ち、翌日の9:00に式根島に到着して、2日間釣りまくって12日(月)の11:40に式根島をあとにして20:00に竹芝に帰還する計画である。

いよいよ出航当日を迎えた。
心が躍り、S氏は仕事が手につかないようである。MUD氏も早朝に掲示板に書き込んでいる。
私もこの日のために新しくデジカメを買ってしまった。
全員が気合いに満ちあふれていた。
天気も最初は雨マークが目立ったが当日には消え、晴れマークがいっぱいである。


●2007年2月9日 ドタバタと出航

ところが、当日になって帰りのフェリーの予約が1日ズレていた事が発覚した。
MUD氏の尽力によって事なきを得てギリギリセーフ。

出航は9日の22:00である。夕方に釣り具屋に行ってエサのアオイソメと竿立て等を買い、大量の荷物をキャスターにくくりつけて竹芝桟橋に向かった。

              竹芝桟橋到着
雨やんでくれ大荷物を持って電車に乗るのは重労働である。特に階段の上り下りが辛い。
やっとの事で浜松町の駅に着くと、雨が降り出していた。片手で傘をさしながら、人波をかき分けてキャスターを引いて歩く。
歩きながら、ブッコミ釣り用の短い竿を持ってくるのを忘れた事に気が付いた。今から戻っては間に合わない。
仕方ない。今回は磯竿5号の1本で勝負だ。
竹芝桟橋に着くと、S氏とMUD氏は来ていなかった。
しかし、実はS氏は先に着いていたのである。浜松町から歩いて来る途中でキャスターの車輪が割れ、重い荷物を手で持って歩いて来たのだ。
荷物を竹芝桟橋に置いて新しいキャスターを買って戻って来たようだ。

今回の釣行は最初から波瀾万丈である。何か、これからの我々を暗示するような闇の力を感じる。
21:30頃、3人がそろった。S氏は変な咳をしているし、MUD氏は花粉症で苦しそうである。私も風邪の兆候か喉が痛い。
我々は闇の力を期待で胸躍るワクワクでかき消し、大型客船かめりあ丸に向かった。

ともあれ、我々は無事に船に乗った。
式根島に着くのは翌日の9時過ぎである。まずは明日からの釣行を祝して乾杯である。
行きは椅子席なのに加えて船の中は暑く、寝づらい。
隣の席で寝ているオジサンの大イビキや騒ぐ若者達に悩まされながらも、ウトウトと仮眠する。


●2007年2月10日 釣行初日---ベラベラベラキタマクラ

荒れる海を走る&民宿中村屋
風強すぎ家庭的です










朝になり、大島・利島・新島と寄港しながら式根島に向かう。
風速9~11mと風が強く、船は揺れて波しぶきを立てながら進む。
式根島に着くと、今回お世話になった民宿の中村屋さんが車で出迎えてくれた。小さな島なので、少し遠回りして釣場等のポイントを案内していただいた。
ありがたいサービスである。
宿に着き荷物を整理して車を借り、釣具屋等に寄ってからさっそく釣りに出かけた。
今回お借りした車は、なんと1日¥2000である。レンタルサイクルよりも安い。
女将さんが、今日はすでに40cmオーバーのメジナが2匹釣れているとの情報を伝えてくれた。
しかし、我々は三宅島でそのサイズのメジナはいっぱい釣った経験がある。
情報を伝えてくれたことは嬉しかったが、あまり聞きたくない情報であった。
式根島では、メジナを期待してはいけないのかも知れない。

野伏港にて&アカササノハベラ
雑魚ばっかうまそ










風が強いため風裏になる港を探して車を走らせる。色々散策して行き着いた先は、フェリーが着岸した野伏港である。
強風にあおられて波がかぶって危険なので、我らゲドバ3人衆は脇の防波堤裏に陣取った。
私はオキアミを使ったカゴ釣り、S氏とMUD氏はアオイソメでチョイ投げ釣りである。
昼食は自炊なので、何としてもオカズを釣りたかったのだ。
メジナやカサゴの1匹でも釣れれば立派なオカズになる。

しかし、強風のせいか魚がいないのか、カゴ釣りでは全くアタリが無かった。
そこにMUD氏が何か釣り上げた。20cmもある大きなアカササノハベラである。
S氏もベラを釣り上げた。2人で次々とベラを釣り上げて行く。
MUD氏がそれをその場でさばいて開きにして干して行く。
近所の主婦だろうか。オバサンが来て、我々の干物を見て感心している。

私だけボウズである。どこからともなくイソヒヨドリが飛んできて、コマセのオキアミをついばんでいる。
すぐにフタを閉めて食べられないようにしたのだが、何時間そばで狙っていたのだろうか。うらめしそうに私のバッカンを見つめ、逃げようとしない。
2月といえども、さすがは離島である。強い日差しで日焼けしていくのがわかる。風は強いが暖かい。
日向ぼっこしながら鳥の写真を撮り、たまーにカゴ釣り仕掛けを投げる。
鳥と遊んでいても仕方ないので、カゴ釣りは止めてマッタリできるブッコミ釣りに切り替えることにした。

イソヒヨドリ&キタマクラ
可愛いけどしつこいんだよお腹が青いぞ










S氏から余っている短めの竿を借り、アオイソメをエサにして堤防の真下を狙ってブッコミ釣りを始めた。
間もなくアタリがあり、釣り上がってきたのは猛毒のフグの一種であるキタマクラだった。
いくら外道バスターズといえども、これは食べるわけにいかない。リリースだ。
しばらくしてまたアタリがあり、またもやキタマクラ。
3匹目にして、やっと2氏と同じベラを釣る事ができた。

MUD氏は赤いネンブツダイ系の魚を釣り上げた。食べられそうなので、写真も撮らずに開きにして食ってしまったのだが・・・。
実はこの魚、非常に珍しく記録写真さえほとんど無いと言われるハナイシモチという魚だった。
下の干物の写真の一番右の魚がそれである。
食っちまったものは仕方あるまい。脂も乗っていて、まずまずの味であった。

昼も過ぎ、そろそろ飯の時間である。
今回の昼食は、すべて自炊で済ます予定である。
コッフェルで御飯を炊き、途中の店で買った肉や野菜を煮込んだ鍋+納豆で舌鼓をうった。
特にMUD氏特製の鍋は美味く、それを飯にかけてハフハフっとかき込んだ。

昼食&干物作成中
うま~~♪いますぐ食いたい










離島まで来て雑魚釣りをしていてもしょうがない。ここは水深が浅く、大物の気配がない。
ベラ以外の魚を求めて移動することにした。
野伏港をあとにして、式根島港に向かった。

式根島港にて&温泉 憩の家
何か釣れろ!寒いんだよ入り口の看板がわかりにくいよ










風はますます強くなり、竿立ての三脚さえ飛ばされる始末である。
最初は風を横に受けるかたちで釣っていたが、仕掛けが風で流されて釣りにならない。
我々は風下に面した堤防まで移動し、私とMUD氏はカゴ釣り、S氏はイソメでブッコミ釣りを始めた。

ここも水深が浅く、カゴ釣りではアタリさえ全く無かった。
夕マヅメの時間になり、ゴマサバやムロアジくらいなら釣れると思って粘ったが、空振りだった。
S氏は、どうせならとエサをワカサギの1匹掛けに替えてヒラメを狙っている。

そんなS氏にアタリが来た。しかし、すぐ根がかりしてしまい、仕掛けをロストしてしまった。
それを見たMUD氏もブッコミ釣りに切り替えである。
そして、すぐにアタリが来た。
大きく竿が曲がってもの凄い力で引っ張られ、糸が切れてしまった。何か大物が潜んでいるようである。
私も迷わずカゴはやめてブッコミにする。
私にもアタリがあった。まるで根がかりしたように重く、あっと言う間に道糸が切れてしまった。

何かいる。巨大なウツボでもいるのだろうか。
その時は、誰もがそう思った・・・。

辺りは日が沈み、すでに真っ暗である。
風速10mを超える風が吹き、かなり冷え込んできた。私は風邪が悪化し始めたらしく、鼻水が止まらなくなってきた。
昨夜はフェリーで寝たので熟睡できず、みな疲れている。
得体の知れない相手と真剣勝負するのは、明日に持ち越しだ。

一度宿に帰り、夕飯前に温泉に行く事にした。式根島温泉・憩の家だ。
塩分と鉄分を含んだ赤茶色の温泉につかって体を癒す。
宿に戻って夕飯を食べ、疲れていたため早めに寝ることにした。
明日の天候を期待しつつ、21:00前にはみんな寝てしまった。


●2007年2月11日 釣行2日目---釣りは格闘なり

早く寝たせいで、まだ暗いうちに目が覚めた。
風邪のせいだろうか、お腹の調子が思わしくない。他のお客さんに迷惑をかけないように、忍び足でトイレに向かう。
期待も空しく外はすごい風が吹き、建物全体が揺れている。天気予報では、昨日を超える13mの風になりそうである。
明日は午前中に島を発つので、1日中釣りができるのは今日だけだ。

アイツと戦うためには体力を温存しなければならない。
すでに6時間ほど睡眠をとったので眠くはなかったが、この風では朝マヅメは無理だ。二度寝することにした。
ウトウトしているうちに夜が明けた。風は一向に収まらない。
MUD氏が起きてトイレに行ったが、なかなか帰って来ない。
私もあとを追うようにトイレに行った。

MUD氏は玄関に面した居間で、コーヒーを飲みながらマンガ本を読んでいた。
他のお客さんは、全員朝マヅメ狙いで釣りに出かけたそうである。
朝食は9:00ころである。まだ時間が十分あったが、外は強風である。
私もコーヒーを入れ、スラムダンクを読み始めた。

しばらくしてS氏も起きてきた。
S氏「起きたら誰もいないんで、自分だけ起きなかったんで2人で釣りに行っちゃったのかと思いましたよ。」
MUD氏「いやいや、この風じゃ~なぁ~。私は朝のコーヒーが欠かせないんで。」
私「ははは・・・(黙々とスラムダンクを読みふける)」

今日は勝負の1日である。なんとものんびりとした始まりであった。
朝食まで3人ともマンガを読みふけった。
昨夜の寒さで風邪が悪化して鼻水が止まらない。鼻の周りもヒリヒリしてきた。
大事な日に風邪とは・・・。しかし、心は静かに燃えていた。
3人とも心の中で、昨夜のリベンジを誓っていたに違いない。
嵐の前の静けさ、いや、高ぶる闘争心を必死でおさえていたのかも知れない。
勝負は夜だ。全員がそう思っていた。

9時になり、朝食を食べた。みんな気合いが乗ってきたのか、ガツガツと3杯飯を食らう者もいる。
私はお腹の具合が悪く、珍しく食欲が無い。しかし、しっかりおかわりをしてしまった。
食べ終わると早々に支度をして釣りに出かける。

              荒磯
波しぶきが飛んできます途中でスーパーに寄り、エサとなるワカサギや昼食の食材を仕入れる。
昨日作ったベラの干物は、今日の昼食で食べる予定である。
車で島内を巡り、強風でも釣りができる場所を探し回る。
先日目を付けておいた小さな漁港に行ってみた。停泊中の船が多く、ロープだらけで釣りにくい。
短めの竿で足下をブッコミ釣りで狙ってみたが、魚の気配が全く感じられない。
魚のいない場所で粘っても仕方ない。釣りには見切りも肝心である。

今日は夜まで釣りするつもりである。先日大物がヒットした式根島港に移動した。
大型船が着岸するメイン堤防は風をモロに受けるので、脇の小さな堤防で釣りを始めた。
水深が浅いので、全員が雑魚狙いのアオイソメ餌でブッコミ釣りである。

ニシキベラ&アナハゼ
こんなんイランこれもイラン










釣り始めてすぐに私の竿にアタリがあった。しかし、針がかりしない。エサの端だけかじられてしまう。
これは魚が小さいのか、エサ盗り名人のフグの仲間か…。
何度かアタリがあり、その度にエサを盗られる。
やっと釣り上げたのは、小さなニシキベラアナハゼアサヒアナハゼかも?)であった。
どちらも小さすぎるし、食べても不味そうなのでリリースした。

その様子を見ていたS氏がメイン堤防の方に移動した。
私とMUD氏は少し粘ってみたが、アタリが遠のいてしまった。
続いてMUD氏も移動。私もここで粘っても雑魚しか釣れないと思い、みんなと同じ場所に移動した。

広い堤防の真ん中に陣取り、3人で並んで釣りを始めた。
風が強いためにウキが流されて釣りにくい。しかもアタリが全く無い。
すぐにカゴ釣りは諦めてブッコミ釣りに切り替えである。
MUD氏がエサのワカサギとサバを買いに行き、準備万端である。
私とS氏はイソメ餌でブダイ等を狙い、MUD氏はワカサギ1匹掛けであくまで大物狙いである。
我々の右側では、フカセ釣りでメジナ狙いの人と海藻エサでブダイ釣りをしている人が2人いた。

ブダイ釣りの人のウキが風に吹かれ、我々の正面を超えて左側まで流され釣りにくい。
とうとうMUD氏の仕掛けと絡んでしまう始末。せめて、他人が釣っている正面に流れる前に仕掛けを回収して欲しいものだ。
何も釣れていないようで、欲が出たのかも知れない。
我々も全くアタリが無い。
S氏は、どうせならとエサをワカサギに替えて放置した。

              干物焼いてます
昼食はこれだけです大物は夜釣りと思いこんでいた我々は、竿を放置して昨日作ったベラの干物を焼き始めた。
S氏が折り畳み式の炭焼きセットを持ってきていた。それを組み立て炭に火を付けようとするが、強風のためうまく行かない。
あれこれ考えた末、ガソリンバーナーで炭を焼いて火を付けてから使う事にした。
風が強くて寒い日に炎はありがたい。手をかざせば暖かいし、見ているだけでもなごむ。

焼けた干物をみんなでちぎって食べる。脂も乗り、実にウマイ。
ハナイシモチ(このときは、誰も名前も知らない魚だったが)も美味かった。
焼きたてをみんなでハフハフ食べる。たまにやってくる様子見の人達も、何をやっているのかと見て行く。
ちょっとだけ優越感に浸れる瞬間である。

そんな和やかなひとときも長続きはしなかった。
MUD氏の竿が、いきなり海に引きずり込まれそうになったのだ!

大物がヒット!&戦闘態勢
ぬおぉ~~!おんりゃぁ~~!










MUD氏は竿をガッシリと握り、戦いを開始した。
m級のアカエイや80cmオーバーの巨ゴイを釣り上げてきたという30号の投げ竿が、折れそうなくらいにしなる。
ナイロンなら24号に相当するPEライン8号の道糸が、海面を切り裂き唸りを上げる。
大型の投げ釣り用7000番リールのドラグが鳴って糸がどんどん出て行く。
これは、とんでもない大物がヒットしたに違いない!
両手で竿を立てて保っておくのが精一杯で、片手を放してリールを巻く事など至難の業である。
体ごと引っ張られて海に引きずり込まれそうになる。

MUD氏は地面に座り、まるでトローリングでカジキを釣るときの様な姿勢をとって戦闘態勢に入った。
顔が苦痛で歪んでいる。ありったけの力を振り絞って巨大魚と戦う。
その様子を見て、脇で釣りをしていた人が近づいてきた。
リール巻いてとか色々アドバイスしてくれるのだが、コイツはそんなレベルの魚では無い!
S氏がMUD氏の代わりにリールのドラグを硬く締め付ける。
それでもドラグが回って糸が出て行く。

なんてバケモノだ。
数々の大物を釣り上げてきたMUD氏でさえ、初めて味わう強烈なパワーだった。
ここまで来ると、もう我々には未知の世界である。
今までの経験など、大した役には立たない。臨機応変に戦うしか無いのだ。

10分以上は経っただろうか。やっとドラグが止まって、リールを巻いて魚を寄せて来れるようになった。
もう激闘でMUD氏の筋肉は悲鳴を上げているはずである。
それでも力を振り絞ってリールを巻く。
我々を含めて周りの連中は、あまりの桁違いの戦いに何故かゲラゲラと笑っている。
MUD氏も笑っていたが、目だけは鋭く海を見つめていた。

やがて魚も疲れてきたのか、だんだん近くに寄ってきた。
そして、5mほど手前の海が一瞬ガボッと大きく盛り上がり、また静かになった。
「浮いたぞぉ~!もう少しだ。頑張れ!!」
野次馬の釣り人が叫ぶ。
私は玉網を持って、その時を待った。
「その糸と竿なら絶対上がる。どんどん巻け!」
また野次馬が叫ぶ。
確かに、人間がぶら下がっても切れない仕掛けである。
勝負はついた。誰もがそう思った。

だが、ヤツは本気ではなかったのだ。
水面まで上げられて人を見て驚いたのか、猛烈なスピードで沖に向かって走りだした。
またもやドラグが悲鳴を上げる。
走られた距離を取り戻そうと、MUD氏は隙を見てリールを巻き上げる。

そのときである。
MUD氏が後ろに反り返って転倒した。
竿の曲がりが空しく通常に戻る。
痛恨のバラシである。
疲労と精神的ショックで、MUD氏はしばらく寝ころんだままだった。
放心状態で薄暗くなり始めた空を仰いでいる。

仕掛けを巻き上げてみると、糸は切れていなかった。
針に少し肉片が付着していた。魚の口の肉が切れてしまったのだろう。
そのあとしばらくの間、MUD氏は何もせずに休んでいた。
疲労困憊の顔だったが、口元は清々しく笑ってるように見えた。

大物は夜釣りという先入観は覆された。
S氏も持てる最強のタックルを用意し、ヤツに宣戦布告である。
私は悩んでしまった。
持って来た最強タックルが、とてもじゃないがヤツと戦えるような物では無かったのだ。
道糸はMUD氏がPE8号(ナイロン24号相当)、S氏がPE6号(ナイロン18号相当)、私は強化ナイロン6号である。
そこでハリスだけはワイヤーを使いショックリーダーも挿入して絶対に切れないようにして、あとはリールのドラグ調整で魚を疲れさせ、時間をかけて取り込む作戦に出た。

少ししてS氏にもアタリがあった。
初めて味わう大物の引きに、苦しそうに耐えている。
しかし、健闘空しくフロロカーボン8号のハリスが切られてしまった。
戦闘時間は短かったが、もう息は上がり体はギシギシいっている。
MUD氏も気を取り直して仕掛けを投入し、気合いを入れる。

私もヒット!&巨大エイ
くわえタバコしてる場合か?でかいんだよ!カメラ向けると逃げるな!










それからすぐ私にもヤツが来た。
リールのドラグに頼る釣り方のため調整が弱すぎたらしく、ドラグが鳴りっぱなしで糸が果てしなく出て行く。
片手で竿を支え、竿尻を股に挟んでリールを巻く。
あまりのパワーに自分でドラグ調整する余裕が無く、手伝ってもらう。
コイツは今までのヤツよりは弱そうだ。
しばらく格闘しているうちに水面近くまで寄ってきた。
水中で大きな平べったい白い物体が翻った。
ウツボやクロアナゴなどの長物ではない。
メインターゲットのヒラメか!?
しかし、ヒラメにしては引きが強すぎる。

ところが、ここでも魚は本気で戦っていなかった。
姿が見えたあとヤツは一気に走り、締め直したドラグが鳴りっぱなしになって逃げて行く。
もう私のタックルでは、どうする事もできない。
仕方なくドラグをさらに締め上げると道糸が切れ、糸だけが海面に漂っていた。
巻き上げてみると既に数10mは糸が出ていて、この短時間であそこまで逃げられた事から、ヤツの泳ぐスピードが速いという事実が判明した。

しかし、ヤツは何者なのだろう。誰も姿を確認できていないので正体不明である。
引きの強さからヒラメでは無い。カンパチやヒラマサなどの青物かとも思ったが、泳ぐスピードはそこまで速くは無いし、あまり横走りしない。
フィッシュイーターの回遊魚が、ブッコミ釣りの海底に落ちた死にエサを食うとも思えない。
では、我々が未だに見た事もないハタやモロコ、クエなどの巨大根魚だろうか。

そんな想像をしていると、S氏が巨大なエイが水面を泳いでいるのを発見した。
幅が1mもあるエイである。ときどき裏返しに反転して、水面の何かを食っているようだ。
普通のエイとは形が違い、両脇のヒレが尖って伸びている。
背中は灰褐色だが、黒い大きな斑点がちらばっている。
すでに薄暗かったので、詳しく確認できなかった。
もしかして、これが我々の戦っている相手なんだろうか。
しかし、MUD氏はm級を含めてアカエイを何匹か釣った事があるが、明らかにアカエイの引きとは違うと言う。
謎は深まるばかりである。

完全に日も落ちて夜釣りになった。
寒いのは昨夜で懲りたので、必殺のハクキンカイロを準備した。
S氏も準備しようとしたが、燃料だけ持ってきて肝心のカイロ本体は家に忘れてきてしまった。
風邪はますます悪化し、鼻水が滝のように流れ落ちてくる。背中のあたりもゾクゾクする。
しかし、今夜が式根島最後の夜である。風邪ごときに負けてはいられない。
ヤツの正体も確かめなければ納得が行かない。

またもやMUD氏の竿にヤツがかかった。
だが、今回のはMUD氏のパワーが勝っていた。
数分の格闘の後、そいつは水面に姿を現した。
S氏が玉網を持って構える。
上がってきたのは、やはりエイだった。色や形からしてトビエイである。
群れで回遊し、マンタのような形で泳ぎもうまい。
海底でじっとしている事もあり、底棲動物から水中の魚まで食性も広い。
やがて玉網が届く距離まで寄せてきた。
ところが、水中では大して大きく見えなかったのだが、横幅が網の枠をはるかに超えている。
玉網は大型で直径は50cmあった。しかし、エイの横幅は1mほどもあったのだ。
これでは網に入らない。無理である。
モタモタしているとエイは本気を出し、針を引き延ばして逃げて行った。
寄せて来られるサイズで1mあるなら、先ほどのはいったいどれくらいのサイズだったのだ・・・。

しばらくして、S氏の竿に何かがかかった。
またもや格闘かと思ったが、簡単にスルスルと巻き上げられ、上がってきたのは60cmほどのウツボの子供だった。
ゲドバとしては、このサイズはリリースだ。離島のウツボなら1mは欲しいところだ。
ウツボ釣り名人のMUD氏は友人にウツボのお土産を約束したらしく、大ウツボ狙いで気合いを入れる。
このままでは持ち帰る魚が1匹もいない。
それだけは何としても避けたい。

いる事が判明した以上、私も狙いをウツボに切り替え、間違って大物が来ても仕掛けのロストが少なくなるように、夜光オモリのブラクリ仕掛けをセットした。
この夜光が功を奏したのか、すぐにアタリがあって60cmほどのクロアナゴがかかった。
今まで大物との格闘が続いたせいか、あれ?何か釣れた・・・程度にしか感じなかった。
このサイズのクロアナゴを1匹だけ持ち帰っても仕方ない。
さばくのも面倒なのでリリースした。

ところが、間もなくMUD氏も同サイズのクロアナゴを釣り上げた。
しまった・・・2匹も釣れるなら、キープしておくべきだった。
本土の釣りなら40cmのアナゴでもキープしていたのだが、ここは離島。
どうしてもキープサイズを大きく設定してしまう。

ウツボ&クロアナゴの時間帯かと思ったそのとき、S氏の竿が動いた。
大物特有の小さなアタリである。
竿先が数cm下がったまま止まっている。
じっと我慢していると、また数cm竿先が押さえ込まれる。
頃合いを見計らって、竿先がさらに下がった瞬間にすかさずアワセる。

S氏の死闘&ダブル戦闘
。。゛(ノ><)ノヒィ冗談じゃないぞ。なんとかしてくれ!










まるで根がかりしたかのように竿先は動かず、竿だけが大きく曲がる。
次の瞬間、強烈な引き込みにあい、S氏の顔は苦痛にゆがむ。
MUD氏の死闘を見ていたS氏は、彼を真似て地面に座り戦闘態勢をとる。
今回の相手は、そうしなければ戦えないヤツだと悟ったのだろう。
S氏の体が悲鳴を上げ、リールを巻く手が震え出す。
5号磯竿は根元から曲がり、両手で支えるのがやっとの状態だ。
MUD氏が竿を立てて、S氏の戦闘を手助けする。
リールを巻く事など、到底不可能だ。2人がかりで竿を立てておくのがやっとという状態である。
体力が見る見るうちに奪われて行く。
S氏はリールを巻く力も無くなり、私に巻いてくれと要請する。しかし、私が横から両手で巻こうとしてもビクともしない。
これは、とてつもない大物に違いない!

そんな戦いの最中、脇に置いてあったMUD氏の竿が吹っ飛んだ。
激烈な戦闘を予感させるダブルヒットである。
リール1つで引っかかって止まった竿をムンズと掴み、ゴングが鳴った。
MUD氏は個別の戦闘は不可能であることを自らの激闘で知ったのか、自分の竿は半ば強引に巻いてくる。
私はあまりの出来事に笑いが止まらず、夢中でデジカメのシャッターを押した。

ついにMUD氏のタックルが悲鳴を上げた。
なんと、人間がぶら下がっても切れないPEライン8号が切れてしまったのだ。
なんというバケモノか。私は、自分の装備では到底戦えない事を悟った。

再びMUD氏はS氏の戦闘に加わった。
今にも折れそうなくらいに曲がる5号竿。
そして、ついに・・・その竿がパーンと言う音と共に折れてしまった。
それでもなお、折れた竿の上側をMUD氏は放そうとしない。
そのうち、上の部分がまた折れてしまった。
磯竿の5号といえば、メーターオーバーのヒラマサやカンパチを釣るための竿である。
その竿が根元から折れてしまったのだ。

誰もが完敗を覚悟したであろう。だが、1人だけ諦めていない男がいたのだ!
MUD氏、彼は折れた竿を上にずらし、軍手をはめて道糸を手で掴んだ。
すでにS氏に戦う力は残っていない。
バケモノとの格闘で彼の肉体はボロボロになっていた。
そこで、一番根元の部分だけ残った竿を私が持ち、リールを巻くことにした。
S氏は折れた竿が私の手元まで落ちないように支える役目だ。

糸はまだ魚と繋がっている。
MUD氏の号令のもと綱引きの要領で後ろに歩いて引っ張り、ある程度下がったらMUD氏が糸を手に絡めて固定し、その隙に私が前進しながらリールを巻く。
3人がかりの戦闘でもドラグが滑り、ジリジリと糸が出て行く。
しかし、これの繰り返しで魚は少しずつ寄ってきた。

スクーターに乗った人がバイクを停めて、我々の激闘を観察している。
どれくらい戦っていたのだろうか。
すでに時間の感覚は無くなり、そこにあるものは魚との真剣勝負だけだった。
ここまでボロボロにやられっぱなしで東京に帰るわけにはいかない。
大きすぎて取り込むことができなくとも、ヤツの顔だけは拝みたい。
できれば写真に納めたい。
それが叶ったなら、お前は我々を熱くした好敵手として海に帰してやろう。
我々は、もはやヤツに対して畏敬の念さえ抱いていた。

やっとヤツは近くまで寄ってきた。
堤防の縁にいるMUD氏が声にならない声を上げている。
「でか」
「エイ」
「うわ」
「ぐは」

写真に納めるには、さらに引き寄せる必要があった。
もうすぐヤツを拝める。
巻き上げるスピードも速くなっていった。
しかし、忘れていた事があった。
ヤツは海面に出てから本気を出すのだ!

次の瞬間、急に引く力が消えた。
ヤツと我々を繋いでいた唯一のラインが絶たれたのだ。
糸ではなく、よりもどしの金具がやられていた。
あまりの張力に持ちこたえられなかったのだ。

スクーターの見物人は、無言のまま去って行った。
ヤツを間近で見れたのはMUD氏だけである。
横幅が畳1畳もあるエイだったそうである。面積なら畳2畳はあろうかという大物だ。
残念だが、我々の負けだ。しかも、完敗である。
しかし、なぜか心地よい疲労感が体と心に広がって行った。
これはもはや釣りではない。格闘そのものである。
こんな経験は離島でなければ味わえないであろう。それを体験できただけでも、島に来て本当に良かったと思う。

さて、まだ持ち帰る魚は0匹である。
3人衆は、気を取り直して釣りを再開した。

クロアナゴ&痛恨のMUD氏
太くてウマソ(^u^;)ハァハァゼェゼェ…










すぐに私にアタリが来た。
結構重いが、明らかにヤツとは違う。
竿は曲がってもリールは簡単に巻け、スルスルと上がってきたのはクロアナゴだった。
S氏に玉網ですくってもらい、難なく取り込む事ができた。
しかし、良く見れば83cmもある丸々と太った立派な魚体だった。
今までの戦いが激しすぎて、このサイズでも楽勝に感じてしまった。
これでやっと、持ち帰る魚を1匹ゲットだ。
このサイズが釣れるなら、もっといっぱい釣り上げたい。

3人はヤツとの激闘で疲れ果て、体は限界を超えていた。
しかし、我々の精神は死んではいなかった。
いや、初めての体験でワクワクし、心の中はなんとも言えない笑いと充実感で満たされていたのだ。
もうヤツは来なくていい。グッドサイズのウツボとクロアナゴが釣れてくれ!

だが、ヤツは容赦なく攻めて来る。
S氏に来たヤツは、フロロカーボン12号ハリスをブッちぎって逃げて行った。
私にも来たが、針をへし折って海の闇に消えて行った。

最後にMUD氏に来たヤツは、とてつもない大物だった。
いきなり最初からリールのドラグが鳴りっぱなしで一気に沖まで突っ走り、PE8号の道糸をブッちぎって悠々と逃げて行った。
もう何をする間も無かった。
ヤツの前では、我々の全てのアイテムが役不足だった。
磯竿5号が折れ、PEライン8号が切れ、6000~8000番の大型リールでさえ巻き上げる事が難しい。

針やハリスも少なくなり、私の風邪も悪化している。
S氏も妙な咳を連発し、口から胃袋が出てきそうな気配だ。
MUD氏はサイボーグと呼ばれる男だけあって、まだまだ元気が残っていた。
友人に約束したウツボを釣り上げていないので、なんとかしたそうであった。
しかし、困憊した2人を見て、一旦宿に戻り夕飯を摂って体勢を立て直す事にした。

食事のあとは風呂だが、私の体は激闘と風邪で既に限界だった。
かなり熱も上がってきているようだったので風呂には2人で行ってもらい、部屋でひとりコタツで横になった。
だが、疲れ切った体とは裏腹に、心は高揚して眠れなかった。

宿の風呂はそれほど大きくないらしく、1人ずつ順番に風呂に入った。
待ってる者はマンガ本を読んだ。
MUD氏は美味しんぼ、私とS氏はスラムダンクだ。

3人がそろい、これからどうするかと言う話になった。
私・・体が限界なので2人で夜釣りを再開してほしい
MUD氏・・式根島最後の夜だから頑張って釣りたい
S氏・・どちらでも良い

結局、もう十分満足したので体を休める事に。
何度も巨大エイとの格闘の話題になり、同じ話でもみんな笑ってしまう。
そのうち疲れが出てきたのかみんな無口になり、マンガ本を読み漁る。
体はボロボロに疲れているのに興奮が冷めず、誰も寝ようとしない。
私は23:30までマンガを読んでいたが、ついに力尽きて布団に入った。
それから朝までは記憶が無い。熟睡していたのだ。


●2007年2月12日 最終日--さらば式根島よ

今日は帰りの船が11:40に出航するので、釣りをする時間は無い。
アシタバを摘み、お土産を買ってから帰り支度をする予定だ。
朝食は9:00なので、それまでに事を済ませることにした。

みんなマンガにハマッてしまったらしく、なかなか行動を起こさない。
体は昨日の釣りでボロボロになり、全員が筋肉痛である。
私はハナのかみすぎで、鼻の周りがヒリヒリ痛い。
「よし!」とかけ声で体にムチを入れ、車に乗り込む。

穏やかな海&アシタバをゲット!
今頃ナギになりやがって!頑張って採ったぞ!










皮肉な事に、今日に限って風は止んで海も穏やかだ。
春の日差しを感じながら、車窓からアシタバを探す。
島のいたる所にアシタバが生えている。しかし、採りやすい道路脇はすでに新芽の部分が採られたあとだった。
道路から少し入ったキャンプ場や上り下りが必要な採りにくい場所に良いのが生えていた。

もはやクロアナゴを除いては、自力で採取できるお土産はアシタバだけである。
筋肉痛の体に気合いを入れ、壁を登り藪に入る。
魁!!山菜塾の塾長であるMUD氏の採るスピードは速い。
あれよあれよと言う間に、他の2人の合計分のアシタバを握って戻って来る。
買い物袋2つ分摘んだところでアシタバ採りは終わりにして、お土産を買いに行く事にした。

向かった先は、先日から目星を付けていた釣具屋である。
釣り具のお土産なんて誰も欲しがらないって?
いや、ここの釣具屋は、ただの釣具屋では無いのだ。色々な食料から薬類、日常雑貨まで売っている。
この小さな島では、釣り具だけ売っていては生活が成り立たない。当然のことなのだ。

ここでお土産にクサヤを買うことにした。
一般的な青ムロの他に、今まで見たこともないサメやキビナゴのクサヤが売っていたので買ってきた。
後にKannaで試食会を開くのが楽しみである。
風邪薬も売っていたのでゲットした。これで症状が緩和されればラッキーである。
ここまでこじれる風邪なら、初日に買っておくべきだったのかも知れない。

宿に戻ると、すぐに朝食である。
フェリーに乗るとロクな食べ物は売ってないので、ガツガツと食いだめする。
食事が済むと部屋に戻り、帰りの荷造りである。
ここまで使ったお金を精算し、3人で割り勘にする。
船賃が安いのと島でもあまりお金を使わなかった事もあり、思ったより安く済んだ。
今思い出したのだが・・・借りた車のガソリンを満タンにするのを忘れていた。
Kのワンボックスだったし島が狭いので少ししか使ってないと思うが、悪いことをしてしまった。

マンガ本を読んで時間を潰していると11:00になり、帰りの港に向かう時間になった。
車で港まで送ってもらい、お世話になった中村屋さんともここでお別れである。
家庭的で良い宿であった。次に来るときもここにしよう。

              帰りのフェリー
もう帰りかよしばらく待っていると、竹芝に帰るフェリーが入港してきた。
ついに式根島ともお別れである。
長いようで短い3日間だった。いつも離島釣行では、あっと言う間に時間が過ぎ去る。
本土では味わえない濃い時間が感覚を狂わせる。

船に乗り込み、予約した2等和室の場所を探し、早々に枕を用意する。
帰りは11:40に出航して20:00着港の予定だが、特にする事が無いのだ。
昼食と夕食の時間を挟んでいるが、あまりお腹は空いていない。
大物との戦いを思い出して談笑する。
それも疲れると、1人また1人と勝手に睡眠をとる。
私は昼夕兼用で16:00に食事を摂り、また眠った。

そうこうしているうちに予定より早く、19:10に竹芝に着いた。
ここから家までが、また地獄である。
魚などで重さの増えた大荷物を引いて満員の山手線に乗り、さらに乗り換えながら家を目指す。
あまりの疲労に竹芝からタクシーとの案も出たが、ここまで来たなら最後の一踏ん張りだ。
ギシギシいう体にムチ打って、あるときは荷物を担いで階段を登る。

20:00にやっと自宅に着いた。みな無事に着いたようである。
荷をほどき、冷凍庫にクサヤをしまう。
着替える力さえ残っておらず、そのまま布団に潜る。
明日からまた都会の雑踏にまみれ、仕事である。
目を閉じると、島での激闘の光景がまざまざと蘇る。

今回の釣行は、お土産の魚がクロアナゴ1匹であった。
釣りとしては大惨敗である。
しかし、眠りに墜ちる私の口元は笑っていた。
この世には、形のある物と無い物がある。
今回は、その形の無い物、それもとてつもなく大きな物を手に入れた気がする。

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