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2007年9月27日
先日の清水で釣ってきた魚を、Kannaで料理していただいて食べた。
今回集まったのは、SaltyDog氏(塩さん)とMr.mud氏(MUDさん)と私である。
塩さんからは高級な日本酒2本、MUDさんからはキャラブキとフキの葉の梅煮の差し入れがあった。
ありがたや~。
では、我々の食べた料理の数々をご覧あれ~。



MUDさんからいただいたフキの煮物は香りが高くウマかった。
数ヶ月冷凍保存していたものだそうだが、香りが全く衰えていない。フキ恐るべし。
独特の苦みがまた、酒によく合う。
最初に食べた魚料理は、アナゴ釣りのエサとして買った小アジの残りを南蛮漬けにしたものだ。
アジの南蛮漬けは間違いなくウマイ。
火もよく通っていて、骨まで完全に柔らかくて食べやすかった。
これが今日一番の美味しさだったらどうしようと心配した。
続いては、ヘダイとクロダイのマース煮。塩味のスープで煮たものである。
このヘダイという魚、何のクセもなく上品な味わい。
もちろんタイの味だが、どんな料理にも使えそうな感じだ。
次はヘダイの刺身。
手のひらサイズのタイだったのだが、Kannaのたみさんによって丁寧におろされて1切れが半身の刺身となった。
皮付きのまま、軽く湯引きしてある。
これはヤバイくらいに美味い。マダイよりもウマイと思う。
身は柔らかいが濃厚な旨味があって脂が乗っており、口の中でとろけるようだ。
塩さんが持ってきてくれた日本酒がこれまたウマくて、和風料理には絶妙にマッチする。
楽しい仲間と美味い肴と酒で、会話も弾む。
刺身のあとは、コッテリ系のアナゴ天だ。
釣ったマアナゴの天ぷらは美味い。スーパーなどで売っているものとは完全に一線を画す。
プリプリの身に濃厚なコクがあり、食欲をそそる。
思わず全員御飯を頼んでしまった。
最後に、自作のカラスミである。
先日も塩をふって一夜干しで食べてみたら、とても美味かったものだ。
今回のものは、さらに1日干してから冷蔵庫で寝かせておいた。
それを軽く炙って薄切りにしていただく。
これはもう絶品である。旨味もさらに増して、異常なほどの味わいになっていた。
これをチビチビと囓りながら日本酒をいただく。
他のお客さんなどにもお裾分けしたが、みんな美味いと驚いている。
自分で採ってきた食材を喜んで食べてもらえると、幸せを感じる。
自分で作ったものを喜んで食べてもらえると、さらに幸せを感じる。
非常に幸福感に満ちた夜であった。
投稿時間 : 05:56 個別ページ表示 | コメント (2) |料理
2007年9月22日
前回、外道バスターズでアナゴ釣りに行った釣場にソロで行ってきた。
清水の貯木場跡地である。
目的は夜釣りなので、遅い時間に出発しても大丈夫だ。
6:30に目が覚めたのだが、釣り具などをいじっているうちに時間が経ち、家を出たのは11:00頃だった。
保冷剤満タンのクーラーボックスをリアキャリアに積み、釣り具等はボストンバッグに入れてタンデムシートに固定した。
これでもシートに座るスペースは十分に確保できる。
ガソリンを満タンにして東名高速の東京インターに向かう。連休の昼間なのに都内は渋滞で、かなり時間をロスしてしまった。
高速に乗ってからもずっと渋滞で、イケナイ運転で先を急ぐ。
暑い上に渋滞で喉がカラカラになったので、SAに退避して一服休憩。
もう14:00を過ぎてしまったので、10分ほど休んですぐに出発。
160kmほど走ったところでガス欠になり、予備タンに切り替わる。
もう出口の清水インターまでは目と鼻の先だったし、今回は念のために予備ガソリンを1.5Lほどボトルに詰めて持ってきているので安心だ。

清水インターを降りて、現地に向かう前にエサの確保だ。
河岸の市でアナゴ釣り用の生イワシを探したが売っておらず、1パック(15匹くらい)400円の小アジを買った。
今度は釣り具屋だが正確な場所を把握しておらず、道に迷ってしまった。
釣場までの道はコマ地図のように○○交差点右折→R150→○○信金左折とかメモッてきたのだが、釣り具屋を探しているうちに完全に迷子状態。
私は道に迷うと闇雲に真っ直ぐ進むクセがあり、気づくと静岡インター手前5kmまで来ていた。
さすがに間違いに気づき、引き返す。
ツーリングマップルも持ってきていたが、地図が小さすぎて現在地を把握するのも困難だった。
何度も同じ道を往復し、アヤシイ交差点は曲がってみた。
前回来たときに通った道の記憶がなかなか蘇らない。
というより、知らない道を走っている。
こうなると、海の方向さえ判らなくなってくる。
さんざん迷ったあげく、偶然に釣り具屋を見つけてエサのアオイソメとオキアミを買った。
前回来たときの店とは違ったが、とりあえずエサの確保はできた。
人間の方のエサはコンビニでおにぎりを4個購入。おにぎりは好きな数だけ食べれば済むので便利。
もう予備タンのまま190kmも走ってしまったのでガソリンを補給し、先を急ぐ。
また適当に直進していると、やっと見覚えのある場所に出た。
そこから釣場までは、ほんの5分ほどだった。
やっと釣場に着いたのは16:00だ。
すでに5人ほどの人が来ていて、サビキでアジを狙っているようである。
荷物を下ろし、釣り人に挨拶しながら釣果を聞いてみると、今来たばかりで全く釣れていないとの事だった。
前回来たときにも釣っていたオジサンも何人か混ざっていた。
脇腹を突いてきたオジサンもいる。ボラ釣りが専門らしい。
夜釣りにはまだ時間が早いので、浮き釣り仕掛けを準備した。
アオイソメを半分に切って針に付けて投入する。
すぐにアタリはあった。ウキがモゾモゾ動く微妙なアタリだ。

いつになってもウキが消し込まないのでアワセてみると、何やらプルプルと暴れている。
釣れ上がってきたのはコトヒキ。しかし、ものすごく小さい幼魚だった。
コトヒキは食べてウマイ魚だが、これはあまりにも小さすぎるのでリリース。
小さい割りに元気いっぱいで、エラやヒレを立てて威嚇してくる。
暴れる力も強く、トゲが刺さって痛い。
気を取り直して、もう一投。
すぐにウキが動いて、またもやコトヒキ幼魚。
エサをオキアミに替えてみる。
しかし、またしてもコトヒキ幼魚。
コトヒキ・・コトヒ・コト・コ・・・1時間くらい猛攻を食らった。
もしかして、今日はこれしか釣れないのではと思い始めたころ、サビキ釣りのオジサンが何か釣った。
20cmを楽に超える食べ頃サイズのマアジである。
ボラ釣り師のオジサンも何か釣った。竿が良い感じで曲がっている。
上がってきたのはボラではなく、30cmくらいもある良型のメジナだった。
こちらも負けてはいられない。
5時のサイレンが鳴り、もうすぐ夕まずめである。
一発逆転を狙って、オキアミ餌で粘る。
ウキがモゾモゾ動いてアワセると、やっと魚らしい引き。
釣れたのは、手のひらサイズのヘダイだった。

ヘダイは食べて美味しい魚で、クロダイのような磯臭さはほとんど無いらしい。
この大きさなら塩焼きでも丁度良いので、食べるのが楽しみだ。
これが釣れるなら数匹は確保したい。
ウキの動きに集中し、勝負をかける。
群れが来ているのか、続けざまにヘダイをゲット。
ときどき地元の人が釣りを見にやってくる。
その中の一人がバイクを見て話しかけてきた。
オジサン「この前も来てた人だよね~?」
私「はい。友人と3人で来ました。」
オジサン「どこから来たの?」
私「東京です。」
オジサン「へ~、バイクでここまで釣りだけのために?高速使って?」
私「はい。釣り好きなもので。」
オジサン「このバイクじゃ高速キツイでしょ~。こんなに荷物積んで。」
私「はい。100km/hちょっとしかスピード出ないので。」
オジサン「バイクで走るのも好きなんでしょ。好きな釣りとバイクを両方かけ合わせて。わかるよ、そういうの。ボクもセローに乗ってるんで。」
私「ええ?セローなら私も乗ってましたよ。」
オジサン「ボクは明日、山に走りに行ってくるよ。」
こんな釣場に来て、共感できる人に会えるとは。
私の竿に何かかかり、会話はそこで途切れてしまった。
釣れたのはクロダイの幼魚。リリースサイズだ。
逃がそうとすると、遠くからボラ釣り師のオジサンが叫んだ。
「逃がすくらいならワシにくれ!」
一杯やりながら釣っているので、肴にしたいらしい。
しかたなくバケツに入れて活かしておいたが、弱って浮いてしまった。
オジサンはクロダイの事など忘れて帰ってしまったので、このまま逃がしても死ぬだけだからクーラーボックスに入れた。
別のオジサンが寄ってきて、身の上話を聞かされた。
東京から来たことを告げると、まだ一度も行ったことが無いと言う。
人がいっぱいいるんだろ。道が混んでるんだろ。テレビでしか見たことないけど。
自分も地方出身者だと告げると、安心したように職場の愚痴などを話し始めた。
そのあと、親方が来て走って行ったところを見ると、仕事をサボッて釣りを見に来ていたらしい。
その後もヘダイはポツリポツリと釣れた。
日も暮れてきたのでアナゴ用の仕掛けを用意し、買ってきた小アジを三枚におろして半身をさらに縦に2つに切ってエサにした。
前回来たときに友人が爆釣したポイントに向かって投げる。
オジサン達はアジ釣りが不調らしく、1匹釣れたきり何もかからないようだ。
やがて1人を残して帰っていった。
帰っても気になるのか、ときどき様子を見に戻ってくる。
アナゴ仕掛けの竿先には鈴が付けてある。
その鈴がチリリンと鳴った。
上げてみると、エサだけきれいに盗られていた。
今回は前回の失敗で懲りて、ちゃんとアナゴ用の仕掛けを持ってきた。
時期的に遅いかとも思ったが、まだ食ってくるようだ。
エサを付け替え、アナゴ仕掛けを投入する。
待つだけの釣りはヒマなので、脇でウキ釣りも同時にやっていた。
日が暮れてもヘダイは釣れ、数も貯まってきた。
オジサンもやっと何かが釣れたので見に行くと、サビキ仕掛けに大きなゴンズイが2匹かかっていた。
このオジサン、ただ者では無い。
「ゴンズイは刺されると痛いんだよ。」
と言いながら、慣れた手つきで素手で掴んで針をはずしている。強者である。
デコピンでゴンズイを怒らせて毒トゲを立たせ、親指と人差し指でトゲの根元を挟むように掴んでいる。
もう、この人は尊敬を込めてゴンズイオジサンと命名しよう。
すごいものを見たが、気を取り直して釣り再開だ。
ヘダイのアタリは微妙なものが多く、ウキが消し込むことなどほとんど無い。
ところが、投入してすぐウキが大きく消し込んだ。
大きなクロダイやメジナを期待したが、ブルブルとイヤな暴れ方。
私にもゴンズイがきた。
針を飲まれてしまいペンチを使ってはずしていると、ゴンズイオジサンが飛んできて「気を付けろ!刺されると痛いぞ。」と言って素手で外してくれた。
針ハズシも使わずに外すとは、やはりただ者ではない。

さっき鳴ったアナゴ仕掛けの鈴はゴンズイかもと思い始めたころ、激しく鈴が鳴った。
アワセてみると、かなり重い。激しく暴れる。
これは何か良い魚かも知れない。
アナゴ特有の重いだけの引きとは違っていたのだが、抜き上げてみると60cmオーバーの大きなマアナゴだった。

ゴンズイオジサンが寄ってきて、驚いている。
「よく見してみろ。こりゃエエわ。今日一番の魚じゃ。」
どんな釣り方か聞かれブッコミでアジ餌だと教えると、さっそく明日の夜やってみると言っていた。
夏はよくウナギ釣りに行くらしく、長物好きのようだ。
しばらく釣り談義していると、また鈴が鳴った。
巻き上げてみると、アナゴらしき引き。
ところが、巻いている途中でウキ仕掛けの竿にもアタリが。
すかさずアワセを入れて、アナゴ竿を又に挟んだままウキの竿を巻き上げる。
ヘダイがかかっていたので抜き上げ、今度はアナゴ竿を巻き上げる。
思った通り中型のアナゴだった。
時合が来たかと集中して釣りに専念する。
ウキ釣りの方はウキが消し込むが、釣れるのはゴンズイばかり。
アナゴの方もエサだけ盗られて針がかりしない。
そんなとき、ゴンズイオジサンが沈黙を破った。
何やら竿がすごい曲がっていて、左右に振り回されている。
見に行くと、50cmオーバーのボラが暴れていた。
ボラ師のオジサンは帰ってしまい、もういない。
網持って来てるかと聞かれたが、今回は持ってこなかった。
ボラは引きが強い上になかなか疲れない。釣りとしては面白いが、夏場のボラは内蔵が臭い。
やっと大人しくなったところで、抜き上げにかかる。
糸はアジ狙いの細糸なので、少しでも暴れられたら一瞬で切れてしまう。
抜き上げに成功し横たわるボラを見ていると、あげるから持って行けと言われた。
正直、あまり嬉しくないのだが、断るのも失礼である。
それとなく、夏場のボラは臭いんですよね~と言うと、それじゃ血抜きしてやると言われ、首を半分切られたボラがクーラーボックスを占有する事に。
もう、冷やしてあったお茶などを出さないと入りきらない。
ボラは夏場でもウマイ事は知っている。内蔵が臭くても身に臭いは無いことも。
しかし、他人が釣った魚でクーラーボックスがいっぱいになるのは釣り人として納得できない。
ボラの群れが回ってくると、小魚は怯えて釣れなくなるからと、ゴンズイオジサンは投げ釣りに切り替えた。
シロギスなどがポツポツ釣れているようだ。
しかし、20:00になって、アタリが完全に止まってしまった。
鈴も鳴らないし、ウキも動かない。エサも盗られない。
こうなると釣りはヒマである。あとは忍耐あるのみ。
ゴンズイオジサンもアタリが止まったらしく、竿を上げてコンビニに買い出しに行った。
帰ってきて缶コーヒーと飴玉をご馳走になった。
眠くなったら釣場でゴロ寝しながら夜釣りするのが好きらしい。
21:00になってもアタリは無かった。
1:00が満潮なので、今は下げ潮で潮が止まっているようだ。
ゴンズイオジサンは釣り具を撤収し、私が釣るのを見ている。
何か釣れるのを見たら帰宅すると言っていたが、何も釣れない。
そのうち、家で寝てもここで寝ても一緒だと言って、ベンチで寝に入ってしまった。
21:30になり、私の竿に全くアタリが来ないのを見て、明日は私に教わった釣り方でアナゴを狙ってみると言い残して帰って行った。
そのあとすぐ鈴が鳴った。
ブルブルと暴れているが小さい。
ゴンズイかと思ったが、30cmほどの小さなマアナゴだった。
再び時合が来たかと集中したが全くアタリ無し。
クーラーボックスを覗いてみると、もらったボラから血が垂れてボックスの中がよごれ始めた。
このままでは、釣った魚まで臭くなってしまう。
ゴンズイオジサンも帰ったことだし、とりあえずボラをさばいて不要な部分は捨ててしまうことにした。
お腹にナイフを入れると、特有の臭い。
しかし、黄色いものが姿を現した。卵巣である。
ボラの卵巣を塩漬けにして干したものは、カラスミとして高価で売られている。
傷つけないようにそっと取り出して、残った体は面倒なので海にポイ。
今頃はアナゴのエサになっているかも知れない。
22:00を回り、疲れも出てきた。
さっきまでは1人になりたいと思っていたのに、なってみるとヒマでしかたない。
釣場で寝るのも良いが、あまり眠くない。
1:00の満潮まで待つのもかったるいので、クーラーボックスの保冷剤が効いているうちに帰ることにした。
さすがは静岡。短時間の割りに満足できる釣果の釣りだった。
色々なオジサンとの出会いもあって楽しかった。


帰りは迷わずに清水インターに到着。
深夜の高速をひた走る。
ところが、まだ130kmしか走ってないのにガス欠のような症状でエンジンが止まってしまった。
3車線ある一番右車線を120km/hで走っている最中だったので、あわててウインカーを出して一番左の車線まで移動。
念のためガソリンコックを予備に切り替えると、またエンジンが始動した。
軽い焼き付きかも知れないので、スピードを押さえて左車線をゆっくり走る。
寒くなってきたので、途中でSAに寄ってフリースを着込む。
ついでなのでガソリンを給油してみると、すでに予備タンのガソリンで走っていた。
ガス欠でエンジンが止まったことが判って安心したが、行続距離が思ったよりかなり短い事が判って不安になった。
道は深夜で空いているので快調に走る。
無事に帰宅したのは満潮時刻の1:00だった。
とんぼ返りの釣行で結構疲れたが、帰ってきてもこれだけはやっておかねばならない事がある。
釣った魚の下処理である。
ヘダイは楽勝だったが、アナゴは切れるナイフが無くて手間取った。
ヘダイを食べるのは初めてなので、宴会が楽しみである。
投稿時間 : 03:18 個別ページ表示 | コメント (2) |釣り
2007年9月15日~16日-----地獄の700数10km
●プロローグ
何年ぶりだろうか。もう10年以上も前になるかも知れない。
以前は、お世話になっているバイク屋さん主催のツーリングに頻繁に参加していた。
当時はまだオフの林道が近場にいっぱいあり、月に1度の割合でオフロードツーリングが行われていたのだ。
私がXLR250Rに乗って参加したロードツーリングが最後だったか。
バイク業界が不調になり、遠出しないとオフロードもなくなったせいで、パッタリとツーリングが開催されなくなってしまった。
何日も店を空けられない店としては、日帰りツーリングが限界だったのだ。

思い返せば、私が初めてバイクに乗ったのもこの店で買ったハスラー50だった。
バイクの師匠とも言える人達がゴロゴロいて、一緒に走っては自身の未熟さを思い知らされて一人川原や山に練習に行ったものだ。
転倒した回数は、ハスラー50だけでも50回以上。
乗り継いだ10台以上のバイク全部合わせると、何度転んだかわからない。
運動神経のあまり良くない私は、バイクの挙動や操り方を体で覚えるしか無かったのだ。
当時の私は走り屋に近かったかも知れない。
山に行っても自分の先を走る者は追い抜き、いつしかツーリングでも先頭を走る事が多くなってきた。
そんな頃、バイク屋さん主催のツーリングが無くなったのだ。

いつしか体も言うことをきかなくなり、集団行動のマスツーリングもマイペース派の私には疲れるものとなってきた。
私の中で、バイクが走りを楽しむための道具から、どんな目的地まででも素早く移動するための便利な道具に変わってきた。
それでもなお、快適な道を走っているときの楽しさは今も変わらない。
●目的地など無かった
8月の終わり、バイク屋さんからツーリングの誘いの電話があった。
前回のツーリングを体調不良で辞退した私は、体と相談しながらも今回は行けると思うと承諾した。
事前に聞いていた情報では、スクーターが多いことと静岡まで行くということだけだった。
さらに、出発が夕方の5時であることから夜間ツーリングが予想される。

集合は調布インター手前のコンビニの駐車場。
約束の時間のPM5時、私はまだ国道20号を走っていた。
連休とラッシュアワーが重なってか、道はどこも大渋滞。大型車1台抜くのもままならない。
余裕を持って1時間ほど前に家を出たのに、数10分ほど遅刻してしまった。
やっとの思いで集合場所に着くと、他のメンバーは全員そろっていた。
メンバーは全員オッサンである。40代3人に50代3人の計6名だ。
昔よく一緒にオフロードの林道を走った仲間だが、あれから10年。みんな歳をとった。
バイクは私がTW225Eで、他は全員が125ccのスクーター。
エンジンは、1人だけ2サイクルだったが、あとはみんな4サイクル。
みんな上は長袖のライディングジャケットを着込み往年の走り屋を思い起こさせるが、下はジーンズやチノパン。
もちろん半キャップのヘルメットなど1人もおらず、全員手袋もしっかりしたものを装着している。
音のうるさいバイクも1台もいない。
近年、リターン暴走族などという言葉を耳にするが、我々はそんなのではない。
マナーは守って楽しく運転するのだ。
どのバイクも燃料タンクが6~7Lで行続距離が心配なので、各自数Lのガソリンをボトルなどに入れて持ってきている。
目的地を聞いてみたが、はっきりしない。一番遠いところで静岡くらいとの事だった。
私以外は125ccなので高速道路は使えない。
下道それも夜の山のワイディングばかり通って700kmほど走って帰ってくるとの事だ。
これは大変なツーリングに参加してしまった気がする。
私は道もわからないので、とにかく後ろに付いていけばいいのだ。
国道20号から奥多摩街道で山に向かい、いきなり夜のワイディングを走ることになった。
4サイクル125ccのスクーターなんて余裕で付いていけると思っていたが、みんな速い速い。
ヒラリヒラリとコーナーを回り、立ち上がりでもスムーズに加速していく。
TWは重い上に立ちが強く、旋回性もあまり良くない。
ギアはワイドレシオの5速なので、常に適切なギアを選ばないと失速してしまう。
普段いいかげんな走りをしていたのと運動不足で、ついに私の体が悲鳴をあげた。
クラッチを握る左手の指がつってしまったのだ。
手を離しても指が曲がったまま戻らない。
最初のワイディングでこの調子で、これから数100kmも耐えられるのだろうか。
しかたなく、クラッチは使わずにシフトチェンジし、曲がった指をハンドルに押し当てて筋を伸ばす。
気づくと前を走る仲間はかなり遠くまで離れてしまった。
前を走る者がいなくなると、街灯の全く無い峠道は闇が迫ってくる。
決して明るいとは言えないTWのライトで照らされる道は、スピードが乗るほどほんの先しか見えなくなってくる。
ちょっとでも枝道や中央分離帯のポールがあれば、一瞬自分の進むべき方向を見失ってしまう。
しばらく走ると、前を行く仲間が道路脇のスペースで休んで待っていた。
ここで一服して体をほぐし、すぐにまた出発である。
国道299号で秩父を目指してひた走る。
指のつりも治り、体もほぐれて調子が出てきた。もう仲間に遅れる事はない。
秩父に着いたら遅めの夕食だ。
道の駅ちちぶに着いたが、建物は真っ暗で営業していなかった。
近くにスカイラークがあったので、そこでビーフハンバーグと焼き肉の和風セット大盛りを食べた。
大盛りにしてはライスが少なくて不満だったが、支払いのときに大盛りは21円増しだと知って納得した。
食事が終わって、すぐまた出発だ。
299号をひたすら走り、埼玉から一瞬群馬を通り、十石峠を経て長野に入る。
八千穂高原スキー場で一服タイム。満天の星空を仰いで10分ほど休憩だ。
こんなとき、スモーカーが多いと助かる。
一服するたびに休めるのだ。6人中4人までがスモーカーだったが、全員携帯灰皿を持参していた。
時刻は22:30。そろそろ眠気が襲い始める時間だ。
八千穂から国道152号で愛知の県境を通って静岡に向かう。
すると、後ろを走る2人が付いてきていない事に気づいた。
引き返してみると、1人スクーターのエンジンがかからなくなって止まっていた。
こんなとき、バイク屋さん主催のツーリングは便利だ。
メカニックを連れて来ているようなものなので、あっと言う間に直してもらえる。
原因は配線の途中で電気がリークしていたのだ。
気を取り直して再出発。また山道を延々と走る。
時刻は24:00を回り、みんな眠くなってきた。
道の駅を見つけて小休止。

道の駅は営業時間外で誰もいなかったが、夜の明かりに虫たちがいっぱい集まっていた。
クスサンなどの大型の蛾も何匹も集まっていた。
明かりに集まる虫を求めて、肉食のカマキリやアマガエルなども待ち伏せていた。
時刻は2:00に近づき、眠気が襲ってくる。

またワイディングを延々と走る。
峠にさしかかるころ、雨が降り出した。道路脇にバイクを停め、各自レインウエアを着込む。
気温も下がって冷え込んできた。フリースを取り出して着て、その上に雨具を着た。
雨の夜の峠道は緊張する。
路面が濡れてグリップが下がる上に、ライトが反射して路面状況をつかみにくい。
しばらく行くと、雨の上に霧が立ちこめてきた。
最悪のコンディションである。先が見えない。
前を行くバイクから離れないように、ピッタリ付いて走る。
静岡に出る途中、予定していた道が通れない事が判明した。
自動車専用道路。125cc以下の車両と自転車や歩行者は通れない。
私以外は125ccで通れないので、仕方なく迂回して進むことに。
しかし、ガソリンが心配である。2サイクルの1台は、みなから予備のガソリンを分けてもらって給油する。

ここで夜が明けて空が白々となってきた。
時刻は5:00、もうナイトランの恐怖ともおさらばだ。
雨は小振りになったが、山の方は雲が厚く立ちこめ、反対側は晴れている。
我々は山に向かって走っているので、これからも雨に祟られそうだ。
川の脇の道をたんたんと走る。
今まで音しか聞こえなかった渓流が姿を現す。
ヤマメやイワナがいっぱい釣れそうな良い川だ。
今回は釣り具は持ってきていないし、マスツーリングなので釣りはできない。

小さな村で小休止。川で家族連れだろうか、何かを釣っている。
女の子が釣っているように見えたのだが、あとで写真を確認したらオッサン達だった。
少し休んでまた出発だ。
みな眠気や雨と戦って、かなり疲れが見え始めた。
意識をしっかりと保たないと墜ちそうになる。

雨が一段と激しくなり、雨粒がアゴに当たって痛い。
いい眠気覚ましになるが、どっちにしてもツライのに変わりはない。
ここで、トンネル脇で休憩。
横に「林道大島線」の標識が見える。
「大島」の名前に惹かれて思わず撮影。
入り口からいきなりの急勾配&倒木まで見えるガレ具合だ。
もちろん、オフも走れるバイクは私のTWだけなのでパス。
みな疲れ、バイクの上に覆い被さって少し(10分も無いが)でも仮眠をとる者も数名出てきた。
気を取り直して出発。

思ったより街まで距離があり、本当にガス欠が心配になってきた。
私のTWも、すでに予備タンに切り替わっている。
閉まっているスタンドにバイクを停め、残りの予備ガソリンを全て給油する。
これでスタンドがある街まで何とかもちそうだ。
時刻は7:30、だんだん意識がもうろうとしてきた。
気を確かに持たねばならない。
撮影した写真はこれで最後となった。
写真を撮ることさえ、意識の中から消えてしまったようだ。
体に鞭打って再出発。
走行中に、一瞬フッと意識が飛んで気合いを入れ直す。
やっとのことで街に出て、コンビニで栄養ドリンクを買って飲んだ。
休んでいると爆音が近づいてきて、暴走族の集団がやってきた。
マンガから抜け出したかのような格好で、改造車に2人乗りして対向車線を走ってくる。
迷惑な連中だ。
バイクを端に停めておいて良かった。
あいつらの脇に停めてあったら因縁つけられそうでイヤだ。
静岡市街で給油し、清水を通って富士山を目指す。
先日アナゴ釣りに来た近くだが、釣りはできない。
釣り具さえあれば、1人ここで残って釣りして帰りたい気分だ。
日が昇って車の数も増えてきた。
渋滞路は非常に眠気を誘う。
なるべく眠くならないように、市街地より山道を選んで走る。
富士の新五合目を通って河口湖に行き、そこで給油してコンビニで食事だ。
カッパを着たままなので、食堂やレストランには入りにくく、どうしても食事はコンビニで済ますことになる。
仲間の1人が体調不良になり、ここで少し休むことに。
眠気と眼精疲労のため、目の焦点が合わなくなってしまったようだ。
ものが二重に見えたまま治らないとのことだった。
栄養剤を飲ませ、少し座って休んでもらった。
すると、近くでガシャンという追突音。
駐車場に停めてあった車がバックで出ようとしたのだが、後ろの駐車スペース外に停めてあった車にぶつけてしまったのだ。
持ち主が出てきて何やら話し合っている。
「いや~、すみませんね~。」
「いえいえ、気にしないで。」
「では、お気を付けて。」
なんだこの人達は。
バンパーが完全に壊れて陥没してるのに、それで会話終わり?・・・。
と、また聞き覚えのある爆音が迫ってきた。
また暴走族の集団である。
さっきより台数が増えて20~30台はあろうか。途中で合流したのだろう。
ここには長居したくないので、そそくさと撤収。
あとは道志街道を通って帰るだけだ。
しかし、三連休の中日とあってか、どこも大渋滞。
私の知らない裏道を抜け、ひたすら東京を目指す。
途中で1人また1人と別れ、私が帰宅したのは17:00だった。
全行程700数10km。所要時間25時間。休憩は全部合わせても1時間弱。
東京都、埼玉県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県、神奈川県。
1都6県に渡るツーリングもやっと無事に終わった。
本当にボロボロに疲れたツーリングだった。
このツーリングでTW225Eの課題も再確認できた。
直進性はかなり高いが、立ちが強くて小回りは苦手。
エンジンはマイルドだが上はあまり伸びず、ワイドレシオの5速ミッションのせいで適切なギアを選ばないと思い通りには走らない。
18馬力のパワーは街乗りでは十分だが、山道の登りではキツイ。
サスペンションはフロントもリアも柔らかくコシがないので、すぐにボトミングする。
7Lしか入らない燃料タンクは長距離ツーリングではツライ。
ツーリングでの燃費は30~34/Lといったところか。
耐久ツーリングでは疲れるバイクだが、近めのツーリングや街乗りでは乗りやすくて気兼ねなく走れる良いバイクである。
サスとタイヤそして燃料タンクさえ何とかなれば、どんな場所にでも入って行けるスーパーウエポンに変身するかも知れない。
走るためのバイクではなく目的地への移動手段としてとらえれば、こんな良いバイクも滅多に無いと思う。
次は、釣りやキャンプで働いてもらう事にしよう。
投稿時間 : 11:19 個別ページ表示 |バイクツーリング
2007年8月31日~9月2日 伊豆大島
以前から一度は行ってみたかった夏の離島での夜釣り。
いつものメンバーであるSaltyDog氏(塩さん)、Mr.mud氏(MUDさん)、怪人M(私)の3人で行くことになった。
とんでもない大物がかかったり、どんな魚が釣れるかわからないので、離島での釣りは夢いっぱいである。
今回の行き先は伊豆大島。三宅島や式根島と選択肢はいろいろあったが、夏の島は賑わっていてフェリーが予約できたのが大島だけだった。
それも、帰りの船は席がとれなくて、甲板でごろ寝の予定だった。
竹芝で出航待ち
離島での夏の夜釣りとくれば決まって釣れるのはウツボだが、今回の狙いは当然のことながら長い魚ではない。
メインターゲットはハマフエフキである。
大型で1mにもなり、引きも強くてイシダイ以上とも言われる強者だ。食べてもウマイ魚である。
ネットで検索すると、大島で釣っている人もかなり多い。70~80cmクラスがバンバン釣れ上がっているのだ。
3人とも気合い十分で、仕掛けや竿の選択に余念がない。
塩さんなど、ハマフエフキ専用竿まで買っていた。なんと、磯竿8号と表示された物である。
私も頑丈な竿が欲しかったが、釣具屋を色々回ってみても売っていなかった。
石鯛竿なら売っていたが、6~7万もするので手が出なかった。仕方なく折れても良いように予備として30号の投げ竿を購入した。
リールに巻く道糸は、3人ともPEラインの10号を選択した。ナイロンだと30号クラスの糸になるので、太すぎてリールに巻く長さが足りなくなるのだ。
私のリールは8000番のスピニングリールだったのだが、PE10号が120mしか巻けなかった。ネットで調べると、走られることが多いので150mは欲しいと書いてあったが巻けないものは仕方ない。
ハリスはMUDさんがフロロカーボン12号、塩さんが16号、私は欲張って18号にした。
針に結ぶときに苦労するが、切られるよりマシだと思って太くした。
魚が大きいと取り込むのに苦労する。今回は塩さんが超大型ギャフを持ってきた。
アルミ製の手作りの逸品を購入したらしい。
気合い入りまくりだ。
そんな準備期間の中で、私に困ったアクシデントが起こってしまった。
金曜の夜に出発なのに、火曜にアキレス腱を傷めてしまったのだ。
朝起きると突然、歩くことさえままならない痛みに襲われたのである。
離島釣行のときは何故か、いつも何かが起こる。ダークサイドに引き込もうとするパワーが我々を妨害するらしい。
何日か湿布で我慢して様子をみていたが、一向に良くならない。
私は病院が嫌いである。不健康な人が集まっている場所に行くと、かえって気分が落ち込む。
何度か入院したこともあるが、基本的に命に別状が無いときは自然治癒にまかせている。
しかし、今回はこんな状態で釣りに行ったらみんなに迷惑をかけてしまう。
出航当日まで待ってみても改善が見られなかったので、仕方なく朝一で病院に行ってきた。
医者に症状を告げると、2枚ほどレントゲンを撮られ診察室に呼ばれた。
アキレス腱のカカト付近に骨化したトゲができていて、それが当たって痛んでいるとの事だった。
マズイ・・・こんなもの、すぐに治るわけがない。
ここまで準備したのに釣りに行けないなんて絶対イヤだ。
医者に原因や対処法を聞いてみたが、薬で炎症を抑えておけば1週間から2ヶ月で自然に治るとのことだった。
ひどい場合はギブスで固定したり手術が必要だと言われたが、私は自然治癒で1週間を選びたい。
どっちにしろ、釣行期間中に治ることは有り得ない。
結局医者に勧められてアキレス腱に直接注射を打ってもらい、飲み薬と湿布薬をもらって病院をあとにした。
この注射が驚くほど良く効いて、2時間もすると今までの痛みがウソのようにスーっと無くなっていった。
痛みは引いてきたが治ったわけではない。
重い荷物を引いての駅の階段はツライので、足に負担をかけないように竹芝まで塩さんと一緒にタクシーを使うことにした。
このタクシーの運転手さんが偶然にも釣り好きで、最近も大島に行ってきたとの事だった。
釣りの話題で盛り上がっているうちに、あっと言う間に竹芝に着いてしまった。
しばらくしてMUDさんも到着し、出航の手続きをとってもらった。
しかし、なんという人の多さか。夏休みの週末とあってか、若者の集団が目立つ。
行きは2等船室の椅子席である。なんかイヤな予感がする。
11:00出航なので、普通はもう寝る時間だ。しかし、12時すぎて消灯時間になっても寝ようとしないでさわいでいる若者が何人もいる。
話ながら出入りしたり、荷物をゴソゴソやったりしゃべったり、音楽をならしたり・・・またもや気になって眠れない。
5:20に大島に着くというのに、彼らが寝たのは3:30であった。
毎度の事ながら、少しは常識をわきまえてもらいたいものだ。

全く眠れなかったので甲板に出てみると、岡田港に入港していた。
しばらくして着岸作業に入り、放送があって下船。
いよいよ大島釣行の始まりである。
船を降りてすぐ、堤防の先端に向かって走る釣り人がいる。
我々以上に気合いの入った人がいるものだ。
まだ薄暗く絶好のマズメ時だが、我々の釣りは夜が本番である。
レンタカーも下船時に合わせて予約してあるので、のんびりと手続きを済ました。

夜までまだたっぷり時間があるので、とりあえず入港した岡田港で竿を出してみた。
大きめのキュウセンやネンブツダイ、オオスジイシモチ、クロホシイシモチのテンジクダイ科エサ盗リオ、猛毒のキタマクラなどが釣れたが、移動時に活かしておけそうも無いのでリリースした。
8時ころになって工事が始まり、撤収を余儀なくされた。
お腹も空いてきたので、カップラーメンで朝食を摂った。
ここでは釣りができないので、元町港に移動。
期待に胸躍らせながら、大物用タックルと雑魚釣り用タックルを準備する。
船の中ではほとんど眠れなかったので、エアーマットを出して横になった。
竿先に鈴をつけて、鳴ったら起きればいいのだ。
この港に来て最初に魚を釣ったのは塩さんだった。
20cmを楽に超える良型のアカササノハベラだ。
食べるとウマイ魚なので、その場で開いて干物にしていく。
小さめだが私とMUDさんにも釣れて、開きの枚数が増えていく。
しばらくして、塩さんが何やら良い引きの魚をかけた。
釣れ上がったのは、30cmオーバーの良型のブダイだった。
これはサシミでも干物でもウマイ魚だが、昼の暑さで傷むと困るので干物に。

その後も雑魚が何匹か釣れたが、霧雨が降りだして肌寒くなってきた。
風も少しずつ強くなってきた。
お昼まで粘って、それから昼食に出かけることにした。

11:30になって干物だけ残して釣り具を撤収し、港近くの食堂で食事を摂ることにした。
何軒か迷ったが適当な店に入り、私と塩さんはベッコウ丼大盛り、MUDさんはクサヤ定食大盛りを注文した。
ベッコウは初めて聞く食べ物なので、店員さんに何か聞いてみた。
サシミを島唐辛子醤油でヅケにした物をベッコウと呼ぶらしい。
今回のベッコウはメダイを使ったものだった。
行きのタクシーの運転手さんが大島でメダイを釣ってきた話を聞いたばかりで、食べてみたくなって思わず選んでしまった。

やがて配膳されてきたが、大盛りにしては量が今ひとつ少ない感じだ。
ゲドバはいつも量が売りの店ばかり行ってるので、感覚が麻痺しているのかも知れない。
食べてみると、唐辛子醤油の利いたメダイの刺身はウマイ。
辛いタレのせいで刺身自体の味は判らないが、身が締まってプルンプルンでおいしかった。
昼食も済み、本番の夜釣りに向けて休息をとることにした。

温泉に向かい、車を走らせた。
以前、塩さんと2人でバイクで来たときもお世話になった温泉だ。
11月の雨の中カッパも着ずにバイクで走っていたので、温泉が天国に感じられた事を回想する。
ここでゆっくりとお湯に浸かり、休憩室で仮眠をとった。
目が覚めたときはすでに5時を回っていて、あわてて元町港に向かう。
早く行かないと、良い釣場がとられてしまう。
港に着くと、すでに何人もの釣り人が来ていて、ウキ釣りやカゴ釣りなどをしていた。
堤防の先端はもう人がいっぱいだったので、その少し手前に陣取ることにした。
もう夕マズメの時間帯である。
急いで仕掛けを準備し、ブッコミ釣りで投入する。
左の方の釣り人がカンパチを釣り上げて喜んでいる。
ブッコミ釣りは海底を狙うのでカンパチは釣れない。
我々の狙いは、あくまでハマフエフキだ。

雑魚釣り用に足下に投下してあった竿に何か釣れた。
見たことも無い赤い魚が釣れ上がってきた。
15cmほどで小さいが、見た感じで美味しそうだったので確保した。
後に調べてみるとテリエビスという魚だった。
塩焼きにしようとウロコを落としたが、体中が鎧のように硬いウロコで覆われていて大変だった。
硬くて手に刺さるほか、皮膚に固く付いているのでなかなか落とせない。
英名がソルジャーフィッシュと言うのもうなずける。
あっと言う間に日は沈み、夕マズメは終わってしまった。
大物用の竿は時々エサがかじられている程度で、ハマフエフキらしきアタリは来ない。
雑魚用の竿にはオオスジイシモチやネンブツダイがたまにかかる程度だ。
生き餌さ用に確保したものの、手応えのある魚が釣りたい。
そんなとき闇の中、塩さんが何やら大きめの魚を釣った。
40cmほどもあるエゾイソアイナメ(チゴダラ?)だった。
鍋や煮物でウマイ魚だ。
これは東京に帰ってからみんなで食べよう。
しかし、最近の塩さんは良い魚をよく釣る。
正直、うらやましい。
日もとっぷりと暮れ、雑魚さえ釣れなくなってきた。
薬が切れてきたのか、アキレス腱が少し痛む。
そろそろ夕飯の時間である。

塩さんが炭をおこし、金網で干物や塩焼きを調理する。
MUDさんはカンパチのアラを使った特製鍋を作っている。
ベラの干物は、いつ食べてもウマイ。
海水だけの味付けなのに塩加減も丁度良く、脂が乗って美味しい。
初めて食べたテリエビスだが、これは文句なしにウマかった。
たっぷりと脂が乗っている上に身に濃厚なコクがあって最高である。
小さな1匹を3人で分け合って食べた。

MUDさん特製鍋がまたウマイ。
自家製の味噌と米は他では味わえない味である。
コッフェルに御飯を盛り、鍋をブチかけて食らう。
お腹いっぱいになったところで、再び釣りに専念である。

すると、塩さんの竿にまたもや何かかかった。
釣れ上がったのは50cmほどのトラウツボだった。
模様が派手で気持ち悪いが、一応食べられるらしい。
今回は、ウツボは大型以外はリリースだ。
しかし、普通のウツボがかからない。
イカの短冊や生きたネンブツダイを使っても食って来ない。
小さなアタリならあるのだが、食い渋っているのか針掛かりしない。
そんな中、塩さんの竿に何かかかった。
竿がかなり曲がって重そうであるが、横走りはしない。
玉網を構えて待っていると、何やら赤っぽいものが上がってきた。

トゲだらけのイカツイ体を掴み上げると、ギュッギュッと変な鳴き声を上げた。
結婚式や旅館などで食べた事のあるサイズよりかなりデカイ。
これは、もしかしてヤバイものを釣ってしまったのではないか・・・。
でも、ものすごくうらやましい。
ものすごくウマそうである。
地元の漁協関係っぽい人がやってきて、我々の仕掛けをじっと観察している。
間違えて釣れてしまったものなら仕方ないと言われ、クーラーボックスに格納した。
続いて間もなくMUDさんにも来た。
MUDさんは「ウツボだ~」と叫びながらリールを巻いている。
しかし、上がってきたのはバルタン星人。
塩さんのより2まわりほど大きめのサイズで、かなりの迫力である。
私は今日は不調である。
アキレス腱は痛むし、雑魚しか釣れない。
たまに竿先の鈴は鳴るのだが、魚が食い込まない。
半ば諦めて竿先を見つめていると、小さく鈴が鳴って竿先が下がったままユラユラと揺れている。
もしやと思いアワセてみるとずっしりと重い引きが伝わってきた。
重い上に結構暴れて引き込まれ、竿が大きく曲がった。
何とか水面まで巻き上げると、それはまぎれもなくバルタン星人(Y)o¥o(Y) フォッフォッフォッフォ だった。
バラさないように、タイミングを計って一気に抜き上げた。
すごい大きさで、ダイコンくらいの太さはあろうか。
体には小さなフジツボがいっぱい付いていて、かなりの年数を生き抜いてきたことをうかがわせる。
針をはずすのも一苦労で、トゲトゲの体やヒゲで攻撃されて手が穴だらけにされる。
もうこの1匹だけで、大島に来て良かったと思った。
本命のハマフエフキは全くアタリが無いまま時間が過ぎていった。
第二の目的だった大ウツボも全く釣れない。
各自仮眠をとりながら、竿がブッ飛ぶ大きなアタリを待つ。

竿尻を船止めに結んでいつアタリがあっても大丈夫な状態にしてあったが、鈴さえも滅多に鳴らなかった。
勝負エサとして1人5匹だけ持ってきたユムシが空しく無くなっていく。
ついに大物のアタリが無いまま夜が明けてしまった。
MUDさんは堤防の先端に移動し、最後の勝負をかけている。
しかし、釣れるのはミナミハタンポなどの雑魚ばかり。
そんなとき、私の雑魚用の竿に何か大きめの魚がかかった。
ちゃんと暴れる魚だったのでブダイかと思って期待したが、釣れ上がったのは大きめのタカノハダイだった。
これは臭くてマズイと有名な魚で、普通の釣り人はリリースする魚である。
しかし、どれくらい臭いのかマズイのか気になったので、塩焼きで食べてみることにした。
大物用の竿には最後の1匹のユムシをつけて投げてある。
1回鈴が鳴ったが食い込まなかったので放置してあった。
完全に日が昇ってしまったのでエサの確認のために巻き上げてみると、何やら大きめの魚がかかっている。
エサがユムシなので期待が高まる。
ところが、上がってきたのはリリースサイズのウツボだった。

最後のユムシも無くなり大物竿を撤収していると、MUDさんが何やら可愛い魚をブラ下げてやってきた。
チョウチョウウオの仲間のシラコダイである。
かわいくて観賞用には良いが、夏場は食べるとかなり臭くてマズイらしい。
当然リリースだ。
MUDさんは潮通しの良い先端に再び向かっていった。
しばらくして、塩さんが持ってきた超大型ギャフを貸してくれと言ってきた。
もしかして、とんでもない魚を釣り上げたのかと思いきや、大きめのウツボだった。
ハマフエフキがダメだったので、執念で釣り上げた1匹である。
ここで釣りはおしまいにして、キャンプ場に行くことにした。
帰りの船は14:20発なので、それまでに釣った魚を処理して朝食である。


クサヤと釣った魚を炭火で焼いて、カンパチの刺身+納豆+生卵となめこ汁付きの贅沢な朝食である。
タカノハダイは内臓が臭かったが身はそれほどでもなく、クロダイに良く似た味で意外とウマかった。
たらふく食ったあとは昼寝である。
2晩ほとんど寝ていなかったので、かなり眠い。
木製の台の上でしばらく仮眠した。
目が覚めて、出航までにまだ時間があるので、少し島内観光をすることにした。
次回来るときのために、漁港なども丹念に歩いて下調べした。

筆島などの観光スポットも見学しながら車を走らせた。
MUDさんが裏砂漠を見たそうだったので脇を通過してみたが、大島は結構広くて時間がかかる。
いつの間にか出航の時間がせまってきて、急いでガソリンを入れて岡田港を目指した。
車を返したあとは自分の足で歩かねばならない。
アキレス腱も少し痛み、それをかばって歩いていたせいで、体中が筋肉痛ぎみである。
帰りの船は席が取れずに甲板でゴロ寝のはずだったが、キャンセルが出て3人とも2等和室をゲットできた。
船に乗ってすぐサワーを2缶飲み干して横になった。
そして、次の瞬間もう眠っていた。
かなりハードな釣りだったが、手にした獲物が初めての高級食材だったため、かなり満足な釣りとなった。
島に行くと、いつもこちらでは味わえない釣りができる。
今度行くときは、ハマフエフキもリベンジしたい。
島でしか経験できないような大物との格闘。
見たことも無い魚達。
来年も来よう。いや、冬にも来るかも知れない。
一度行くと病みつきになるのが離島釣行である。
竹芝に着いて獲物を分担してクーラーに詰め、私は足が痛むので塩さんとタクシーで家路についた。
クーラーボックスのドレンボルトを締め忘れたままタクシーのトランクに積んでしまったのは、降りてから気づいたことである。
2007年9月6日 Kanna
大島で釣ってきたバルタン星人、ウツボ、エゾイソアイナメをKannaで調理してもらって宴会を開いた。
今回は私たち3人の他に、nabekunさん、ろーどまんさん、黒洋梨さん、手下Fさんが来てくれた。
いつもオフ会などでおなじみの林道仲間である。
台風が接近し直撃しそうな気配の中、全員集まってくれた。
アキレス腱も治り、私はカッパを着て店まで歩いた。
店の外を傘を壊しながら歩く人を後目に、我々はご馳走で宴会である。



最初に出てきたウツボ料理は、その美味しさにビックリした。
やや生臭さのあるウツボが、調理次第でこんなにも素晴らしい食材に変わるとは。
唐辛子の辛さとモチモチした食感で、御飯のオカズにもピッタリな味だった。
御飯はエビ殻を小さく刻んだ炊き込み御飯だった。
御飯に香りが移って美味しかった。
一番ビックリしたのはオーブン焼きである。
結婚式などでよく食べたものだったはずが、まるっきり別物と思える味と香りだった。
食べている最中、みなが無言になるウマさである。
ミソのコクが何とも言えない味わいだった。
足もカニ並に太いので、バリバリと割っていただいた。
細い足や触角などは、そのままパリパリと食べられた。
一生に一度味わえるかどうかの経験かも知れない。
エビマヨは、美味しさはもとより、その肉の量にビックリした。
これで1匹の肉だとは。
私の釣ったダイコンサイズ恐るべし。
殻のみそ汁は、良い出汁が出てる上に胸などに肉が残っていて、夢中でホジホジして食べた。
ダイコンに味が浸みてうまかった。
エゾイソアイナメの煮付けは、その姿からは想像できないほど上品な味で、タラによく似た味だった。
キモがウマイと言われているのだが、夏場の魚はキモが小さくて残念だった。
MUDさんが仕事で遅れ、最後の煮付けが出る前に駆けつけた。
料理はMUDさんの分を残しておいてあったのだが、ウツボだけはいつも食べているからと全部たいらげてしまった。
写真を見せるとすごく残念がっていた。
次回の釣りはウツボかゴンズイか。
外道バスターズ本来の釣りになりそうである。
今回のような釣果は滅多に無いことかも知れない。
外道を狙って釣れた外道が高級食材だった。
こんな番狂わせがあるから釣りは辞められない。